HOME >> 経営に生かせる人事・労務・法律の知識 >> 不動産管理会社
不動産管理会社
BAMCグループの古谷です。
今回も不動産業界から税理士業界に転身した私から、不動産に関連した話題を、みなさんにわかりやすくお伝えしていきます。
さて今回のテーマは「不動産管理会社」。
保有する不動産の規模がある程度大きくなった場合、これらの不動産からの収益を分散させるため、不動産管理会社に不動産管理料を支払うという方法があります。具体的な方法は次の通りです。まず不動産の所有者たる地主さんや家主さんが、法人たる不動産管理会社を設立。自身はその会社の代表者に就任します。次に家族を役員や従業員として雇用し、自分の不動産の管理をこの不動産管理会社に任せます。不動産管理会社はこの管理業務の報酬として、管理委託料を地主さんや家主さん個人から徴収。不動産管理会社では、この管理委託料を原資に従業員たる地主さんや家主さんの家族に給与を支払うことで、結果不動産所得が所有者の家族に分散される、というものです。
現在の税制では、個人事業者として所得を家族に給与の形で分散させる場合、その給与は「専従者」としての一人分しか認められない(=経費にならない)ことになっています。ところが法人の場合、こうした制限はありません。また個人事業者の場合、様々な出費が必要経費扱いされることにも制限が設けられており、例えば交際費等はなかなか認められないことが現状です。この点においても、法人であれば、事業を行うために必要な支出は原則経費として認められています。しかも不動産の所有者たる地主さんや家主さんにとっても、法人に対して支払った不動産管理料は、当然不動産所得の必要経費になるため、この手法は実に大きな効果を生み出してくれるのです。
しかしこれはあくまでも、この不動産管理会社が管理業務を適切に行っていることが前提となります。もし、不動産管理業務に実態が伴っていないことが判明した場合、不動産所有者の地主さんや家主さんが支払った不動産管理料の経費処理は、当然税務署から否認されることとなるのです。昨年この不動産管理料の経費処理が税務署に否認されたことについて、不服申立をして争ったものの、結局地主さん側が負けてしまった事案がありました。この事案では、地主さんは同族の不動産管理会社との間で管理契約を締結した上で、外部の不動産会社と当該不動産(アパート)の賃貸借契約を締結していました。(外部の不動産会社は、さらにこのアパートを第三者に転貸) これに対して税務署および不服申立を審理する国税不服審判所はいずれも、同族たる不動産管理会社が行う管理業務と外部の不動産管理会社が行う管理業務が事実上同じであると認定、管理業務を当該不動産管理会社に委託する必要性がないとして、地主さんが不動産管理会社に支払った管理料の経費算入を認めなかったのです。事実、当該不動産管理会社はまったく管理業務を行っていなかったため、税務署等に対して管理業務遂行の具体的証拠を示すことができなったことも敗因となったようです。
上記の事案では税務署は、管理委託契約書及び賃貸借契約書の内容確認、不動産管理会社および外部不動産会社の業務記録、さらには賃貸料等のお金流れや入金確認担当者に加え、管理窓口先を記した現地の看板までもチェックしていたそうです。やはり、事業にかかわる支出を必要経費として算入するためには、客観的に見てその費用が業務と直接手関係を持ち、かつ業務の遂行上必要なものに限ることが要件となりますので、不動産管理会社を活用している方は、再度この点を確認してみてください。
実は不動産管理会社という法人を使った所得分散には別の方法があるのですが、それはまた次回に。
(古谷)



