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抵当物件の競売と賃貸借(2)
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抵当物件の競売と賃貸借(2)
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弁護士の緒方義行です。
今回は、抵当物件の競売と賃貸借(2)です。
前回の(1)では、1.短期賃貸借の制度が廃止されて、抵当権設定登記後に対抗要件を備えた賃貸借は,たとえ短期の賃貸借であっても、抵当権者(買受人)には対抗できないことになったこと、2.しかし,建物の賃貸借については、競売手続の開始前から使用・収益を行っている賃借人は,買受人が建物を買受けた時点から6か月の明渡猶予期間を経過するまでは建物を引き渡さなくてよいとされたこと、3.建物の使用者は、買い受けから明け渡しまでの間の建物使用の対価(通常の賃料相当額)を買受人に支払わなければならないこと、4.買受人は賃貸人としての地位を引き継ぐわけもなく、敷金は承継されないことなどを説明しました。
ちなみに、この明渡猶予期間は、執行妨害目的の賃借人については認められないと解されています。また、買受人は、代金納付後、裁判所に対し、占有者に引渡命令の申立をして引渡の執行を求めることができます(その期間は従前6ヶ月とされていましたが、9ヶ月になりました)。
今回は、抵当権者(買受人)に対抗できる賃借権について説明します。
「抵当権者の同意を得た賃借権の登記」
抵当権設定登記後の賃貸借であっても,抵当権者の同意を得て登記した賃貸借に対抗力を認める制度ができました。この同意が得られた賃貸借については、買受人に引き受けられ、敷金の返還債務も承継されることになります。
優良な賃借人がいることが,かえって換価価値を上昇させることもありますので、抵当権者が賃借権の存続に同意を与えることもあるというわけです。
保護される賃借権の要件は、次の3つです。
1. 賃借権の登記があること
2. 貸借権の登記前に登記された抵当権者の全てが同意すること
3. 抵当権者の同意について登記がなされること
賃借権の登記についての登記事項は,賃料,存続期間,賃料の支払時期,敷金があるときはその旨などです。
また、抵当権者の同意については、賃借人の承諾は不要ですが、その抵当権を目的とする権利を有する者など,同意によって不利益を受ける者がいるときには,同意にあたって,その者の承諾を得ることが必要です。
問題なのは、不動産の一部について賃借権の登記をすることはできないということです。
ビルなどを賃借するケースを考えた場合、それが区分所有建物であれば、各室ごとに独立の建物として登記されているので、賃借権の登記もできますが、そうでない場合は、l棟の全体について一括して賃貸借をする場合でないと、この制度は利用できないことになります。
(弁護士 緒方義行)



