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「中年会計士の、ちょっとだけ聞いて欲しい独り言(3)」


ようやく秋の深まりを感じますこの頃ですが、皆さん、お元気でご活躍のことと思います。公認会計士の富田です。


前回までに、現在行われている監査は、会社と公認会計士等とが協力し合って行われるものであることを監査の目的との関連でご説明しました。


一方、一般の方々から見ると、監査する立場にある公認会計士等が監査の対象となる会社からお金をもらって業務を行っているという図式がとてもわかりにくい制度だとも申し添えました。

協力し合いながらもクライアントである会社に対して常に何らかの問題点が財務諸表に潜んでいるのではないであろうかとの疑念を抱きながら監査を行う、このような公認会計士等の気構えを「精神的独立性」と呼んでいます。
この「精神的な独立性」をしっかりと保ってクライアントに対してもの申すことが制度上予定され期待されているのです。

ところが、ビッグ・クライアントを手放したくないという誘惑が常にそこに内在しており、「精神的独立性」との相克が心の中に渦巻く可能性を秘めています。監査もビジネスである以上、そこから得られる報酬は公認会計士等の「売上高」であり、公認会計士や監査法人の経営基盤を支え、特に監査法人内部ではビッグ・クライアントの担当責任役員の権威と地位の礎と見なされるからです。
こういった矛盾が極端な形で発現したのが○ボウの事件や○○ブドアの事件であると考えることができます。


ビッグ・クライアントを手放したくない、この悪魔の誘惑に私たち公認会計士等が打ち勝って、精神的な独立性を保って、クライアントにもの申すことこそ私たち公認会計士等の存在意義を確立・維持する基なのです。


○ボウや○○ブドアの事件は、私たち公認会計士等に与えられている社会的な使命を放擲し、我身の利益と保身に走ったあってはならない悲しい事件で、彼らの行く末は当然の結果であったということができるでしょう。これらの事件にあるように不正や誤謬(間違い)を知っていながらこれを見過ごすことは許されません。


一方、不正や誤謬があるにもかかわらず、監査報告書に「適正」の意見を記載することも珍しくありません。皆さんはこの一言を聞いて「ええ!決算書に間違いがあったり、不正があっても「適正」とはこれいかに!との疑問を持たれたかと思います。この皆さんの思いを「エクスピクテ―ション・ギャップ」といい、次回はこの点を少しご説明しようと思います。
 
 
富田でした。

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