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営業譲渡の譲受人の責任
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営業譲渡の譲受人の責任
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弁護士の緒方義行です。
今回は、「営業譲渡の譲受人の責任」についてです。
営業譲渡がなされた場合、「譲渡人の営業から生じた債務について、営業の譲受人も債権者に対する弁済責任を負うことになるのだろうか」という問題です。
これについては、第1に、譲受人が譲渡人の商号を続用しているかどうか、第2に、商号の続用がされてない場合に、譲受人が債務引受の広告を出したかどうかによって結論が違ってきます。
1 商号の続用がある場合
営業譲渡がなされても、本来、譲受人による債務引受や債務移転の手続がされない限り、譲受人は当然には譲渡人の債務を承継するものではないはずです。
しかし、商法は、営業の譲受人が譲渡人の商号を続用する場合には、譲渡人の営業によって生じた債務について、譲渡人と共に弁済責任を負うと定めています。
譲受人が責任を負う場合には、営業譲渡後2年以内に債権者が譲渡人に請求または請求の予告をしない場合、債権者は譲渡人からの弁済を受けることはできなくなり、譲受人に対してのみ請求できることになります。
ただし、営業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受人が、譲渡人の債務は引き受けないということを登記すれば責任を免れることができます。また、やはり遅滞なく、譲渡人と譲受人の双方から第三者に債務を引き受けないと通知した場合にも、譲受人は債務を免れることができます。
商号の続用があったと認められるかどうかについては、完全に同一の商号でなければならないというわけではありません。
例えば、会社ではなく「○○洋品店」という商人が「株式会社○○洋品店」という会社を設立して営業を続けた場合に、商号の続用による営業の譲渡があったとした判例があります。
また、「○○合資会社」という合資会社で営業を営んでいたが、「○○株式会社」という株式会社を設立して営業を譲渡した場合にも商号の続用があるとした判例があります。
もっとも、この要件を厳格に解釈し、「有限会社
○○商店」から「合資会社
新○○商店」へと営業譲渡がされた場合、つまり、会社の種類が異なるうえに、譲渡人の商号に「新」の文字を付けた場合について、商号の続用がないとした最高裁の判例もあります。
さらに、「譲渡人の商号の続用がなされる場合には譲受人は責任を負う」ということを定めた商法の規定が類推適用される場合もあります。
例えば、債務者が債務を免れるために新会社を設立し、その新会社に営業の現物出資をした場合、新会社が現物出資をした者の商号を続用するときは、営業譲渡そのものがなされた場合ではありませんが、営業譲渡があった場合と同様に考えて、譲受人の責任を認めた判例があります。
また、「有限会社○○」から「有限会社△△」へと全く別の商号の会社へと営業の譲渡がされた場合であっても、同じ屋号を使用して営業を続けた場合について、商号ではなく屋号の続用であっても、その屋号が商取引において当事者を特定するに際して重要な機能を担っている場合には、商法がいう「商号を続用する場合」に含まれるとした判例があります。
さらに、ゴルフクラブの営業譲渡を受けた者がゴルフ場の名称を続用する場合についても、商号の続用ではありませんが、ゴルフ場の名称は営業上使用され営業の主体を表示する機能を有するとして、やはり類推適用を認めた判例があります。
もっとも、ゴルフクラブの名称が続用された場合でも、譲渡人と譲受人の商号に共通点も類似性もなく、営業譲渡の通知や会員証、会費の請求書などの記載といった具体的事情を考えると債権者は営業主体が変わったことを認識しうるとして、類推適用を認めず、譲受人に対する請求を退けた判例もあります。
2 商号の続用がない場合
譲受人が譲渡人の商号を続用しない場合には、譲受人は当然には譲渡人の営業から生じた債務を承継しません。
しかし、譲受人が債務を引き受ける旨の広告をした場合には、譲渡人の債権者は譲受人に対して弁済を請求することができます。
どのような場合に債務引受の広告があったといえるかについては、見解が分かれていて微妙な場合もあります。
債務引受の広告による責任の有無は、債権者がこれを見たかどうかとは関係ありません。
そして、この場合も、債務引受の広告がなされた後2年以内に、譲渡人の債権者が譲渡人に請求または請求の予告をしない場合には、商号続用の場合と同様に、債権者は譲渡人から弁済を受けることはできなくなり、譲受人に対してのみ請求をすることができることになります。
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