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中年会計士の、ちょっとだけ聞いて欲しい独り言(9)
皆さん、お元気ですか。公認会計士の富田です。
最近では会社関係の方がほとんど知っておられる「J−SOX法」。これに対応するには、会社の管理の仕組みを事細かに記述、足りないチェックポイントと追加し、書類を山のように作る必要がある、そういう印象が今まで一人歩きしていた感があります。
私も仕事柄、J−SOX法がらみでいろいろな会社の社長様にお会いしますが、「要するにISOと同じで、決められた書類を作ればいいんでしょ!」と豪語される方が時折お見えになります。そんな時、私はすかさず「そういう社長様のお考えが社内の管理体制をズタズタにしてしまうのです!」とお答しています。
前回のメルマガで、「全社的な内部統制」ということで、会社のトップの方の考え方がとても重要だとお話ししましたが、まさにこの点が抜け落ちる可能性が高いのではないかと危惧しているところです。
上場会社であれば、確実に平成20年4月1日開始事業年度から「財務報告に係る内部統制監査」が始まります。従って、今まさに各社とも体制の整備に向けて全社的な取り組みを初めておられることでしょう。
そんな中で、会社のトップの方が一言でも「書類を作りさえすればいいんでしょ」などと言われたら、会社の従業員の方々は、真剣にこの作業に取り組まれるでしょうか?「何だ、要するに、書類を作ればいいのね」との姿勢で書類作りだけが進み、全く実効性のない、形骸化した内部統制が、多くの時間と費用をかけて作られることになるでしょう。
あえて申し上げるまでもありませんが、会社の体質は、管理の仕組みはもちろん、経営上の全ての局面において、トップの方の考え方に大きく左右されると言えるのです。
最近、グループ会社6社、売上約100億円、毎年5億円〜10億円近い所得を上げておられるオーナー企業グループ(非上場)の会長様が私のところに相談にお見えになりました。ご自身が高齢になってこられたので、そろそろ次世代に経営をバトンタッチしようと考えておられるとのこと。
そこで、次世代に経営を引き継ぐ前に、会社グループを法律や制度に照らし、経営管理の仕組みも含めあらゆる点で、世間様から後ろ指を指されないような清廉潔白な経営体にしておきたいと言うことでした。
その会社には、特段の問題はないと私自身は認識しているのですが、会長様の心は、違法なことや好ましくないことは、いずれは世間に明るみにされ、会社の存亡の危機につながるかもしれない、従って、できるだけそのようなリスクにつながる要素は早めに摘み取り、適正な状態にしておきたいと言うことでした。
これからの時代、コンプライアンスは、大企業だけに関係することでは決してない、その兆しを、この会長様は敏感に察知しておられるのかもしれません。
コンプライアンスや内部統制監査に対する経営者の方々の取り組み姿勢の違いで、何年か後には社会からの信頼を得て大きく発展する企業と、不祥事で転落する企業とに明暗がくっきりと出てくる時代がくる予感がします。
皆様はどうお感じになりますか?
富田でした。



