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中年会計士の、ちょっとだけ聞いて欲しい独り言(12)



鬱陶しい梅雨空が続いていますが、皆さん、お元気ですか。

 地球温暖化と言われて久しいのですが、「不都合な真実」の影響はじわりじわりと私たちの日常にその変化の兆しを表してきているようです。
 そんな中、違う意味で「不都合な真実」を抱えた多くの会社が、今年も何とか3月決算の総会を乗り切り、ようやく一息ついているといったところかもしれません。


 前回までは、会社の一担当者の不正事件を取り上げ説明しました。今度は、経営者が関与した不正をご説明しましょう。

 マンション建設を得意とする資本金約60億円の建設会社が、平成13年8月に民事再生の申請手続を行いました。間もなく同年12月に、社長及び元役員3名が粉飾・違法配当の容疑で逮捕・起訴されました。
 建設業の売上である完成工事高は、物件の工事が全て終わり、施主へ引き渡された時点で計上する「工事完成基準」と、工事の進捗度合いにもとづいて計上する「工事進行基準」がありますが、この会社は、「工事進行基準」を悪用し、平成10年7月期及び11年7月期の2事業年度にわたって、配当することのできる利益(配当可能利益)が無いにも拘わらず利益を水増しして、違法な配当を繰り返していました。

 それでは、一体どういった手口で粉飾を行い、監査法人のチェックを逃れていたのかを見てみましょう。

 会社は30社以上の下請け業者から架空の請求書を提出させて、その請求書にもとづいて工事原価を計上、この先行(架空)の原価が計上されることで「工事進行基準」による完成工事高を計上していたのです。しかも、これらは一度受理した下請け業者の請求書を下請け業者に現場名を書き換えた請求書と差替えさせ、正規の請求書と同じ姿をした請求書で工事未払金を計上するといった手口で行われていました。

 これら一連の粉飾に対して、我々会計士、監査法人はどのように対応するか、また当時対応していたのかを見ることにしましょう。このような大胆な行為を行うことができたのは、一連の不正を経営者が主導し、外部業者も巻き込んで行われていたことによると考えられます。
 まずは、書類を頼りに、取引が実際に実在するものであるかどうか、金額が適正であるかどうかをはんだんする我々にとって、このように外部からの書類がそろった状態ですと、粉飾の発見は容易ではなかったことが認められます。

 次回は、さらに詳しくこの事案を見ていきたいと思います。
 
 皆さん、間もなく夏本番です。どうぞご自愛の上、ご活躍のほど心よりお祈りいたしております。

 富田でした。

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